こんにちは!なんぺです。
当ブログみお暮らしの「みお」はわたしが患う遠位型ミオパチーという病名からきています。
といっても、遠位型ミオパチーをご存じの方は少ないですよね。
そこでPADM遠位型ミオパチー患者会が作成した遠位型ミオパチー ガイドブックを簡単にまとめてみました。
今回から3回に分けてご紹介していきます。
遠位型ミオパチーは病気の症状や原因によって、細かく種類が分かれています。
日本に多いのはこの3つ
- 縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー
- 三好型遠位型筋ジストロフィー
- 眼咽頭遠位型ミオパチー
今回はわたしの患う「縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー」についてお伝えします!
縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーってどんな病気?
GNEミオパチーに名称統一
縁取り空胞(ふちどりくうほう) を伴う遠位型(えんいがた)ミオパチーには、これまで複数の呼び方がありました。
- 縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー
- 縁取り空胞型遠位型ミオパチー
- Distal Myopathy with Rimmed Vacuole(DMRV)
- Hereditary Inclusion Body Myopathy(HIBM)
患者の筋肉を顕微鏡で見たときの様子からこう呼ばれていたんじゃ
2014年からは世界的にGNEミオパチーに統一されました。
GNE遺伝子が病気の原因と分かったからのぅ
でも患者同士ではいまも空胞型って略して言っちゃう
患者数はたったの300~400名
筋肉の病気を発症するというだけでもとても稀なことです。
縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーの患者数はわずか300〜400名。
ほかの筋疾患と比べても桁違いに少ない病気です。
この病気を診たことのない神経内科の先生もいるくらい
発症年齢は20代〜
20代~40代で発症することが多い縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー。
遠位型ミオパチー ガイドブックによると、平均は28.1歳で発症します。
神経・筋疾患患者登録 RemudyのGNEミオパチー登録データによれば、平均発症年齢は28.1歳(12-62歳、中央値 26.5歳)
わたしは高1~高2の16歳頃に発症したよ。ちょっと早め
GNE遺伝子の変異が原因
縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーは常染色体劣性遺伝です。
父親と母親それぞれから遺伝するGNE遺伝子の両方に変異があると発症します。
GNE遺伝子に変異があると、体内でシアル酸を作る働きが悪くなります。
その結果、筋肉の中のシアル酸が不足し、筋肉の萎縮や筋肉の細胞に縁取り空胞が現れます。
シアル酸が不足するとなぜ筋肉が弱っていくのかはまだ分かっていないぞ
かなり簡単にまとめたから、くわしくは遠位型ミオパチーガイドブックのP.11〜をチェック!
縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーの症状
最初の異変は歩きにくさ
発症した頃の症状はこんな感じです。
- 何もないところでつまずく
- 歩くのが遅い、速く歩けない
- スリッパが脱げやすい
- 歩き方がおかしい
階段をかけ上がれなくなったのは運動不足だと思ってた。「足痛いの?」って聞かれたこともあったな
すねの筋肉から弱っていくから、つま先を持ち上げにくくなるんじゃ。その後、股関節を外に向ける筋肉、脚を閉じる筋肉も落ちていく。すると、この病気特有の独特な歩き方になるんだ
足を外側から内側に振り出して歩いてたな。振り子みたいに
平均11.6年で車いすに
病気が進行していくと、足だけでなく手にも症状があらわれてきます。
重たいものが運びにくくなったり、ペットボトルのふたが開けにくくなったり、握力も低下していきます。
そして、いずれ車いすが必要になります。
発症から平均11.6年(2-30年、中央値 9.0年)で車いすを必要とする状態になります。
わたしの場合は4〜5年。早っっっ!
遺伝子変異により発症年齢・進行スピードはバラバラ
ここまで、発症年齢や車いすを利用し始める年齢などの平均を紹介してきました。
これはあくまで平均で人によって大きな違いがあります。
発症後10年以上たっても杖で歩ける人もいるぞ
この違いは遺伝子の変異がどこに起きているかで生じています。
日本人で最も頻度の高いp.V603L(603番目のアミノ酸がバリンからロイシンに変わる変異)は重症型変異、2番目に頻度の高いp.D207V(207番目のアスパラギン酸からバリンに変わる変異)は軽症型変異と考えられています。
わたしの変異はp.V603L
ほかの患者仲間と比べても進行が早いと感じています
血液からの遺伝子検査で診断可能
筋生検
これまで筋肉の病気が疑われる場合、以下のような検査が行われてきました。
- 血液検査でクレアチンキナーゼ(CK)値を調べる(症状に気づかない初期のころは1000IU/L 程度(基準値50-250IU/L)進行すると低下し、歩けなくなるとかなり低くなる)
- 針筋電図(細い針を筋肉に刺して電流を流して行う検査。痛い)
- 筋生検(筋肉を切り出して顕微鏡で観察する検査)
特に病名を確定するには筋生検が必須でした。
上の写真には細胞のふちに空胞が見える。だから縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーというんじゃ
筋生検って筋肉には麻酔をかけちゃダメだそうで、切られているのがわかって怖くて気持ち悪かったよー
確定診断は血液からの遺伝子検査
痛く怖い思いをしながら筋生検をしても、まだ確定診断とは言い切れません。
筋生検で縁取り空胞が見られても、GNE遺伝子に変異が見つからないこともあるんです。
遺伝子検査の流れ
- かかりつけの神経内科で採血
- 国立精神神経医療研究センターへ送る
- 解析結果がかかりつけ医に届く
この間たった2〜3ヶ月
GNEミオパチーの研究室で研究の一環として解析してくださっています。ありがたやーーー
近年では病歴と特徴的な身体所見からGNEミオパチーが疑われた場合は、血液からの遺伝学的解析で診断することが可能であり、筋生検を行わないことが増えています。
いまは筋生検しなくてもよくなってるみたい!
治療法はいまだナシ
病気を治したり、進行を遅らせる薬も治療法もいまはありません
研究は続いておる
シアル酸補充療法
体の中でシアル酸を作りにくいのならば、シアル酸を補充しようという研究が行われています。
実際にヒトへの投与を行う臨床試験(治験)も真っ最中です。
- シアル酸補充療法
アメリカを中心とした国際共同第3相治験
⇒プログラム中止
日本のみで行った(アメリカと同様の)第2/3相治験
⇒とりまとめ中
- マンナック(シアル酸になる前の段階)補充療法
2018年からアメリカで第3相試験が開始
未来の治療法
- N-アセチルシステインで抗酸化
シアル酸が作りにくい
↓
活性酸素種がたくさん増える
↓
抗酸化物質のN-アセチルシステイン(NAC)の摂取で酸化ストレスを減らす
↓
筋力低下が改善
マウスの実験では良い結果が出たようだ
- 遺伝子治療
イスラエルのグループが研究中
8型アデノ随伴ウイルスベクターに患者に足りていないGNE遺伝子を組み込み補充する方法
根治したいよー
- iPS細胞
サテライト細胞を用いた移植治療法
※現在、デュシェンヌ型筋ジストロフィーで研究中
サテライト細胞と呼ばれる高い筋肉再生能力を持つ細胞をiPS 細胞からつくりだし、それをバラバラの状態で筋肉に注射することで、患者さんの筋肉内で再生を起こし正常な筋肉を再構築するという方法です。
サテライト細胞は、元々ある患者さんの損傷した筋肉にくっついて取り込まれるこ
とで、筋肉の内部から新しい筋線維をつくりだします。
患者由来iPS細胞での病態研究と創薬への応用
患者の筋肉からiPS細胞を作り、病気を再現した筋肉細胞を作る
↓
「壊れた細胞膜が再生しにくいこと」を止める化合物を探す
↓
治療薬の開発へ
ほかの筋疾患で成功したら、遠位型ミオパチーへの応用が期待できるぞ!
まとめ
縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーについて、簡単にまとめてみました。
医師による詳しい情報はこちらからどうぞ!
もしも記載内容に間違いがありましたら、コメント欄かお問い合わせフォームからご連絡ください!
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